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東京高等裁判所 昭和59年(ラ)646号 決定

抗告人

ダグラス・アール・ハース

右訴訟代理人

今井健二

相手方

ロバート・ライカー

右訴訟代理人

藤平国数

右当事者間の東京地方裁判所昭和五九年(ワ)第九五三三号賃金請求事件について、同裁判所が昭和五九年一二月二〇日なした訴訟費用担保提供申立却下決定(昭和五九年(モ)第一三〇八三号)に対し、抗告人から抗告の申立がされたので、当裁判所は次のとおり決定する。

主文

本件抗告を棄却する。

抗告費用は抗告人の負担とする。

理由

一本件抗告の趣旨及び理由は別紙〈略〉のとおりである。

二よつて判断するに、本件記録中の各書証及び相手方審尋の結果によれば、相手方はおそくとも昭和五七年六月以降東京都港区赤坂六丁目○番○○号○○ハイツ二〇一号室に居住し、英語教師等として稼働していることが認められ、これによれば、相手方は右同所に住所を有するものと認めるのが相当である。

抗告人は、相手方は出入国管理及び難民認定法上短期の滞在を認められた外国人旅行者にすぎないと主張するところ、相手方の外国人登録証及び相手方審尋の結果によれば、なるほど、従前は在留資格が同法四条一項四号に該当する者として在留期間も九〇日以内であつたこともあるが、現在は同法四条一項一六号に該当する者として在留期間も三年以内であつて、現に昭和六〇年一月二九日から同年七月二九日までの六か月間とされていることが認められ(なお制度上在留期間の更新も可能である)、加うるに、相手方が前記のとおり現在まで二年数か月にわたり同一場所に居住して社会的活動を行つていることからすれば、前記の場所をもつて相手方の生活の本拠とみなすのに妨げとはならないと解すべきである。

三よつて原決定は正当であつて、本件抗告は理由がないのでこれを棄却することとし、抗告費用は抗告人に負担させることとして主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官高野耕一 裁判官南 新吾 裁判官成田喜達)

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